いよいよ初夏らしくなりました。

木々の緑も若々しく、衣服を替えた肌を吹き抜ける凱風が清々しいです。

梅雨が来る前に衣服の整理や体調管理を徹底したいですね。

                                                                                                                                   

                                                                                                                    平成19年5月20日 義志東京本店 

                                                                                                                                    店長  樽見陽子

  

【義志情報通】

 

大蛇特別仕様、遂に発売

 

昨年10月に和製スーパーカー『オロチ』を発売した光岡自動車と『義志』が、

互いの使命感や表現に共鳴し合い実現した協業によるファッション企画。

今月18日、その義志の『オロチ』特別仕様商品が、遂に発売されました。

少量生産のため、義志東京本店と『オロチ』公式ウェブサイトのみでの販売となります。

 

オロチは手に入らなくてもオロチの雰囲気を感じたいという人は必見!

 

Tシャツ 型第30 「大蛇」

 

価格:6,720円(税込) 色:白・黒 サイズ:小・中・大・特大

 

 

【新作入荷情報】

 

Tシャツ型第1 「やぶれ山桜」

 

価格:9,345円(税込) 色:白・黒 サイズ:小・中・大

 

着る者の肩を丸く大きく見せる鍵となる両肩の大きなプリント。

普通の桜ではなく花びらの先が破れた山桜紋。一見単純に見えるこのプリントは、

計13回も刷る工程で「型第1」の中では最も手数が掛かったデザインである。

 

 

Tシャツ型第1 「いかづち」

 

 

価格:9,345円(税込) 色:白・黒 サイズ:中・大・特大

 

5つの雷紋を肩の接ぎ目をまたいで両肩に大胆に配置。

「やぶれ山桜」同様、着る者の肩を大きく見せるデザインとなっている。

強さと鋭さを強烈に感じさせる完成度の高い逸品。

 

 

【義志東京本店情報】

 

義志東京本店では光溢れる夏に向けてイベントが盛り沢山。

6月上旬には義志・小萩の定番「Tシャツ 型第1」大特集を開催。

この夏ひと際目立てる新柄や新色を取り揃えて一気にお披露目致します。

6月中旬には、創作着物デザイナー高橋理子が展開するブランド“HIROCOLEDGE”

浴衣展を開催。伝統的な染織技法による品質の高い浴衣が目も文に義志東京本店を彩ります。

会期中は、義志別注の浴衣や高橋理子のデザインによる「Tシャツ 型第1」など

ここでしか手に入らない貴重な企画商品も販売致します。

 

詳細は追ってご案内致しますので、この夏も義志東京本店の動きにご注目下さい。

 

店長のブログ
 
http://blog.livedoor.jp/yoshiyuki_tokyo/

 

 

【進化せよ、日本】 

〜代表・緒方義志の言いたい放題11〜

 

 

「ファッション誌へ」

 

それにしても、ファッション雑誌というものは、どうしてこうも日本語を毛嫌いするのでしょうか。

書店やコンビニには多種多様なファッション誌が所狭しと並んでいますが、

その表紙の群れを一歩下がって眺めてみると、殆どの雑誌の名前が見事に

外国語であることに気付きます。そんなとき、私は日本語を母国語とする

人間の一人として、文化的自尊心を挫かれるような感覚を抱かずにはいられません。

ファッションと出版の第一線で表現活動を行う人たちが、こうも見事に日本語で

ファッションを表現することを放棄してしまっているのですから。彼らのほとんどは、

日本語ではファッションの気分や空気を作り出すことは不可能だと諦めてしまって

いるのでしょう。私の知る限りでは、『装苑』を除く若者向けファッション誌の表題は、

決まってアルファベットで表現されています。

 

彼らが日本語を使いたがらないのは、何も表題だけではありません。中身の記事も

実に多くのカタカナ言葉で溢れかえっています。そもそも、「ファッション」という言葉自体が

外来語であり、その概念や雰囲気そのものが輸入されたものだからという理由も

あるのでしょうが、今私達が普段何気なく使っているファッション用語の中には

日本語では表現しきれない基本用語がたくさんあります。例えば、「ファッション」という

言葉そのものから始まり、「モード」、「ストリート」、「カジュアル」、「スポーツ」、

「コレクション」、「デザイナー」、「ブランド」等は、どれも直訳で日本語に置き換えた

としても決してその言葉の意味や感覚が伝わりません。「ストリートカジュアル」を

「路地裏の普段着」と言い換えてしまうと、残念ながらその語感や気分は

全く異なるものになってしまいます。

 

そういう状況の中で麻痺してしまったからなのでしょうか、ファッションに従事する人たちは

いつしか日本語で表現できる物事すらをも英語やフランス語で表すようになってしまいました。

よく目や耳にする言葉としては、「メンズ・レディス」、「コンセプト」、「クリエイション」、

「ショップ」、「オープン」、「オリジナル」、「S・M・L」、「カラー」、「センス」、「イメージ」、

「コーディネート」、「ディテール」等がありますが、これらの言葉は日本語に置き換えても

何ら意味や感覚の伝達に支障をきたさない言葉だと私は思います。「カラー」を「色」と

書いたり「ショップ」を「店」と言ったりしたところで、相手に伝わる意味の何が変わると

言うのでしょうか。もし「色」を「カラー」と表現すると、野暮なものでもお洒落に感じてしまう

ということであれば、それなりの意味もあるのかもしれませんが、その程度のことで

物の見方が変わるような単純な日本人は今時そう滅多にはいないはずです。

しかし、近年ではそんな傾向に拍車がかかり、「できるかぎり英語で表現することが

かっこいいのだ」と言わんばかりの表現を特にファッション誌で目にし、辟易することしばしばです。

 

ファッション誌をあまり読まない方のために一例を紹介します。以下は、最近私が買った

ある雑誌の中で、今季のスタイリングの傾向について説明している文章の一部です。

 

「デザインに文字通り『ひねり』を加えたアバウトな表現スタイルが新鮮だ。

ソリッドカラー主体の今季だが、単にシンプルというわけでもない。ベルテッド・ジャケットが

ボディラインを緩やかに形づくり、シワの陰影がアシンメトリーでランダムな表現を演出する。

タイト一辺倒だったメンズ・スタイルがボリュームにシフトする過渡期のデザインは着る人が主役。」

「人気のジレは、ビジネスからドレッシーなものまで、バリエーション豊富。

リゾートやストリートでは、素肌やTシャツにさらりと羽織る。シャツと合わせる場合は、

タイトフィットなものを選び、男らしい印象をアピールして。また、シャツの袖を

カットアウトしたスリーブレスシャツも、マスキュリンな着こなしが主流に。」

 

ここまで徹底的にやられると、ある意味で感心しますが、私の個人的な趣味で

言わせて頂けば、これはどう贔屓目に見ても知的で格好よい表現とは言えません。

私にとってこの感覚は、むしろ、漫画の「おそ松くん」に登場するイヤミとか、

「オバケのQ太郎」のドロンパの醸し出す滑稽さを連想させます。ドロンパは

アメリカオバケだからまだ仕方がないですが、イヤミはフランスかぶれの痛々しい

日本人の象徴として40年以上も前に赤塚不二夫によって描かれたキャラクターです。

当時の子供たちはそんなイヤミの言動を小馬鹿にする感性を持っていたはずなのですが、

ファッション誌に従事する人たちにはそんなイヤミの感性を格好悪いと思うどころか、

その性質にさらなる磨きをかけていっているようです。

 

こうして、ファッション表現のカタカナ語化が業界主導型でじわじわと進んでいるわけですが、

「外国語で表現することがお洒落である」という意識を助長することに一体どういう

ファション的価値があるというのでしょうか。確かに、かつてのファッション黎明期の

日本においては、かたちから入って欧米の流行を真似ることでお洒落を楽しんでいましたが、

近年では日本のファッションも相当な成熟を見せています。消費者はファッションを

見た目やかたちだけでなく、その人の価値観や生き様までをも表現する手段と捉え、

内面からも美しく魅力的でありたいと考えるようになっています。そのような「美しさ」や

「魅力」をより高い水準で提案していかなければならないファッション誌が、主体性の

重要な要素である独自の言語表現を軽視し、鹿鳴館精神そのままに英語・フランス語を

無意識に乱用しているのだとすれば、発信側の方が確実に時代遅れであると言わざるを得ません。

 

しかし、やっかいなことに、この感覚はファッション業界に限ったことではありません。

政界や学会における指導者や知識人たちも自分達の博識ぶりや最先端ぶりを

ひけらかすためだけに無意味にカタカナ言葉を乱用しています。特に「美しい国、日本」を

政権構想に掲げる安部総理大臣などは酷いものです。歴代の首相が手をつけることが

できなかったタブーに果敢に挑んでいる姿勢や、真に自立した国家を築き上げようとする方針は

何ら否定するものではありませんが、そういう理念を声高に謳いながら「政治のリーダーシップ」

「『イノベーション』と『オープン』による経済活性化」「戦後レジームからの新たな船出」と、

自らの政策の「6つのポイント」の中で、誰もが理解できるかどうか定かでないカタカナ語を

使用したり、就任時の所信表明や施政方針演説においては、「グランドデザイン」、

「ゲートウェイ」、「リバースモーゲージ」、「セーフティーネット」、「ホワイトカラー・エグゼンプション」など

盛りだくさんの難しいカタカナ語を駆使し政治経済に対する深い知識と理解を主張しています。

私は、「美しい国、日本」という政権構想には大賛成をする人間ですが、

その指導者がこんな言葉使いをしていては全くもって説得力を欠いてしまいます。

内閣総理大臣という国家の首長をして日本語で物事を表現することを軽視し、

外国語に置き換えて表現することに粋や洗練を見出している現状なのですから、

ファッション誌がその程度の美意識しか持っていないのはさもありなんとも言えます。

 

しかし、ファッション誌は「ファッション人」でありながら、その実は「出版人」であるということを

常に意識して仕事をしてもらいたいと私は強く思います。そして、出版人には文字や

言葉の発展を促進する使命と責任があると考えます。なぜなら、彼らは活字とデザインを

駆使して情報を発信する行為においての玄人であり手本たりえる存在だからです。

彼らは言論とデザインの両方を表現の柱に持って、人々の価値観に圧倒的な

影響を及ぼします。だから、彼らはその気になれば、社会の潮流を大きく変えることが

できるのです。その中でも、特にファッション誌は若者に最も身近な媒体の一つであり、

若者の多くは「かっこいい」、「かっこわるい」の価値観の指標を確認する教科書として

ファッション誌を愛読します。親や学校の先生が何を言っても聞かないようなことでも、

ファッション誌が「かっこいい」と言えば読者たちはそれを素直に受け入れるのです。

仮にファッション誌が、「安易な英語のかっこよさに頼る表現のしかたって、

なんだか自分に自信がない人みたいで格好悪いよね」という価値観を発信すれば、

若者たちも確かにそうだということに気がつき、安部総理大臣の所信表明につっこみを

入れるような感性を持つようになるのです。

 

ところが、今日まで、ファッション誌はそれとは正反対の価値観を発信し続けてきました。

彼らは常に流行の最先端を歩き、進化するファッションの水先案内人ではありますが、

彼らの言語活動に関して言えば、それが進化した日本語のかたちであると捉えることには

かなりの無理があります。「外国語を柔軟かつ巧みに取り入れて日本語表現の幅を広げた」

などという解釈には、日本人としての自尊心に対する嘘と誤魔化しを要します。

 

さて、ファッション誌に従事する方々。そろそろこんな言語活動は、自らの文化に

誇りと自尊心を持った人間の感覚ではとても痛々しく恥ずかしいことだということに

気づいてください。一体、何に怯えてそれほどまでに日本語から距離を置こうとするのでしょうか。

あなた達が変われば消費者の感覚も確実に変わっていきますから、どうぞ日本語に

自信を持って積極的に使ってください。あなたたちがそういう力と責任を持った出版人である

ということを再度認識してください。真の「かっこよさ」を追求するのであれば、

まずは健全なる自尊心に支えられえた「確固たる個」を形成することが第一なのではないでしょうか。

もういい加減に「かぶれ」の時代には自ら終止符を打とうではありませんか。

 

 

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