義志公式サイト

自由自在の脚

2017/12/06

偶然通りかかった交通事故現場での人命救助劇から2か月も経たない9月の某日、
男はさわやかな笑顔とともに軽い足取りで撮影現場に現れた。

多彩で変幻自在な蹴り技を真骨頂とするこの男に
義志の空手袴を履いてもらいその機能性の高さを記録するためだ。

小宮山工介。

空手家でありプロ格闘家として厳しい世界に身を投じながらも
常に優しい微笑みを絶やさず、周囲を和やかな空気に包み込む。

力強さとしなやかさ。
素早さとなめらかさ。
頑丈さとやわらかさ。
厳しさとおおらかさ。

これらのすべてが一つの肉体と精神の中に調和する。

気力に満ち溢れていながら
肩のちからが抜けていて常に自然体。
幼いころから培ってきた空手の技術と精神に裏打ちされた強さを
そのたたずまいにはおくびにも見せない。

己にきびしく、人にやさしく。
大切なものは守り、欲しいものはとことん追う。

この男にとっての空手とは
争いに勝つためのものではなく、
優しく平和な世をつくるための術なのかもしれない。

事故現場に遭遇したあの日、蹴りを得意とするこの男が繰り出したのは
蹴りではなく肘打ちだった。
炎上するトラックの窓ガラスを一撃で打ち破り、中の男性を救出した。
その代償として右肘に大小無数の裂傷を負こととなった。
合計十数針におよぶ治療を施した傷跡がまだ痛々しい。

しかし、この男にとってはそれも既に昔の話のようで、
傷のことなど全く意に介さず、おもむろに準備運動を始める。
そして、男はにっこり笑って言う。
「いつでもどうぞ。」















































































小宮山工介(こみやま こうすけ)
長野県上田市出身。空手家。国際空手道北斗会館館長。
幼稚園の時に父の道場である北斗会館で空手を始め、以降さまざまな空手大会にて計60回以上の優勝を重ね、2005年と2006年の極真会館全日本ウェイト制選手権でベスト8入りを果たす。2007年にRISEでプロ格闘家としてデビューし、2011年2月にはRISEスーパーフェザー級王座を獲得。2014年には各団体の王者やトップ選手が出場するBLADE FC JAPAN CUP -61kgトーナメントに参戦し優勝。現在はK-1を主戦場に現役選手として活動しながら、K-1ジム北斗会館の館長としても格闘家の指導にあたる。
2017年7月12日、徳島県内の県道で正面衝突の事故にあったトラックの前を偶然通りかかった際、炎上するトラックから窓ガラスを肘打ちで割るなどして車内の男性を救助したことで警察署と消防署から感謝状が贈られたことが話題となる。その際、肘に10数針の怪我を負い、9月に予定されていたK-1戦への参加を見送るも、11月に行われたスタウロス・エグザコスティディス戦を勝利で飾りK-1の舞台に見事な復帰を果たした。