ついこの間春が来たと思ったら、
もう夏がすぐそこに顔を覗かせている今日この頃。
そんな初夏の訪れを大歓迎すべく、
義志でも元気で勢いを感じさせる商品が続々と入荷しています。
今月も義志から発信される力強い新作たちをどうぞお見逃しなく!
□□進化せよ、日本□□
〜代表・緒方義志の言いたい放題33〜
「日本流」発信のすすめ
今、日本人が持っている危機感のひとつに、「グローバル社会における存在感が低い」
ということが挙げられます。その課題を解決するために、世界の時流に
乗り遅れぬよう海外で起こっているトレンドをいち早く入手して迅速かつ
積極的にアクションを起こすことや、外国人とのコミュニケーションにおいて
気後れしない日本人を作るために、より実践的な英語教育を実現したりする政策も
もちろん重要です。しかし、その前に日本人がまず理解しなければならないのは、
今日のいわゆる「グローバル」社会において、その「スタンダード」のほとんどが
欧米の価値観の上に成り立っているということ、そして、私達日本人は何でも
その「スタンダード」を進歩・発展のベンチマーク(水準)にしようとしているということです。
その最たる業界がファッション業界です。西洋の服飾文化を標準とし、少しでもその表現に近付くために
使い慣れない欧米言語を駆使して消費者と供給者が共に抱く「ファッション」のイメージを作り出す活動を
健気に展開しているのが今の日本ファッションの主流と言えるでしょう。しかし、元来西洋文化の上に
立脚しない日本人が西洋の「スタンダード」の上だけで自らの服飾文化を発展させ、アパレルビジネスの
国際競争で勝負をすることそのものが不利なのは当たり前の話です。それを分かっていながらも、
頑なに「本場の兄貴分」たちに追いついて「お前もなかなかやるじゃないか」と少しでも
認めてもらおうと考えている卑屈さが今の日本人には否めません。しかし、その先に日本人が
行き着くのは、「日本人も西洋の服飾文化を西洋人並みに理解し、西洋人と同じ感覚で
クリエーションができるのだ」という評価を得ることでしかなく、その対価として、
日本人が歴史の中で培ってきた感性や技術の素晴らしさをさらに進化・発展させて
世界にその素晴らしさを共有してもらうという、日本人にしかできない極めて
価値のあるコミュニケーション活動を犠牲にするということでもあるのです。
このように、自らのアイデンティティを半ば封印した創造活動やコミュニケーションは
大いなる無理と意味の薄弱さを伴います。コーチングの世界などで良く言われることですが、
教育においてもビジネスにおいても、苦手や弱点を克服することは大変に時間と労力がかかることで、
人一倍の根気を要する反面、長所や強みを伸ばしていくことは個人の人間形成においても
ビジネスの競争においても、他者との差別化を促進し、個性をさらに際立たせ、その結果、
当事者にさらなる勢いと自信を与えます。つまり、日本人が国際社会の中で無理なく
効果的に競争力を高めていく上での最も有効な方法論は、実は、日本文化が
持っている個性を現代のファッションに転化し普遍化していくということなのです。
ファッションに対してのみならず、日本人がこのグローバル社会の中で今まで以上に輝きを放ち、
かつ周りから十分に尊重され、その存在が存分に求められるようになるためには、
まずは日本人としての自分に対し確固たる自尊心を持つことが重要です。そのステージを
飛ばして日本人が国際人として世界で尊敬されることはありえません。
真の国際人になりたくば、欧米先進諸国の流儀や流行に精通したり会社やブランドの名前を
英語にしたりする前に、まずは日本人としての自分と向き合うべきではないでしょうか。
自分が何者で、自分の強みが何であるかを知り、自分の国の風土と風俗の中で培われた
美意識を信じ、自分が生まれ育った文化の中で身につけた流儀を
軽んずることなく、自分達にしかできないことが何であるかを理解する。
これこそが、これからの日本人に強く植えつけていかなければならない意識なのです。
そういう意識が、自国の文化と国家を自らが育むという気概となり、翻っては、
国家の繁栄と国際社会での存在感に直接的に結ぶ付く精神の根源となるのだと考えます。
今やファッション産業は日本が持つ有力なソフトパワーのひとつです。この業界の企業が
一社でも多く世界進出に成功することは、世界における日本の存在感を高めるという視点において、
特に若い世代に対しては最も有効な手段のひとつと言えます。その日本のファッションが集約する原宿は、
秋葉原と並んで、今外国人観光客に最も人気のある街であり、この街そのものが、
日本が抱えている強いブランドの一つだと考えることができます。原宿というブランドは
日本のファッションの象徴であるのみならず、音楽や芸術、また、その他の表現文化の最先端が
躍動する日本の若者文化のるつぼであり、若い世代の自尊心の芽が豊かに生い茂る
文化発信戦略の鍵であると言っても過言ではありません。そんな文化戦略的拠点として、
日本政府は原宿という街をもっと有効に利用すべきです。
麻生首相は秋葉原を現代の若者を象徴する街としてよく持ち上げていますが、
秋葉原から発信されているのはファッションや音楽などの感性産業よりも
はるかに参加人口の少ない「サブカルチャー」と呼ばれるよりマイナーな感性と表現に
基づく新興文化でしかありません。そんな特殊な文化を国家戦略として予算を割いて
世界に発信する感覚と金銭的余裕を持ち合わせているのなら、その前に日本が取り組むべきは
日本の大多数の若者とトップクリエーターたちが作り上げる日本の若者のメジャー文化としての
ファッションとエンターテイメントの魅力をどうやって世界に伝え、そのマーケットを
いかに世界規模にしていくかということです。この産業を世界に拡張していくことは、
半導体や液晶ディスプレイを輸出する事よりもはるかに目に見えるかたちで
日本の存在感を世界に示す効果を伴い、それが世界の日本に対する憧れや好意を醸成する、
まさに外交に直結する活動ともなるのです。
そのためには、創り手側もまた、それなりの高い国際感覚と日本文化に対する健全な自尊心が要求されます。
いつまでも「西洋に追い付け追い越せ」といった1世紀以上も昔の古臭い感覚でモノづくりをするのは
時代遅れも甚だしく、そんな日本の姿勢など今日のグローバル社会は求めてはいません。
世界はまだ提案されていない独自の価値とそこから得られる新しい刺激を求めています。
未だに西洋の亜流を至上とする日本のファション業界はいい加減に自分たちの持つ文化発信力を自覚し、
世界に独自の「日本流」を発信していく行為が結果的に導く精神的な社会貢献に対しても
意識を向けるべきです。もっと誇りと自信を持って、この日本を代表するファッションエリアから
「日本流」の面白さを世界に向けて発信していこうではありませんか。
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